《着物少女》
どうも、ワシじゃ。今回もブログ主が気まぐれで書いたオリジナルホラー小説をお届けするぞ
《OL》
今回のタイトルは「夢が追いかけてくる」。怖い夢にまつわるお話です・・・
●創作ホラー小説「夢が追いかけてくる」
俺が小学校低学年ぐらいの頃、怖い夢ばかり頻繁に見る時期があった。
悪夢といっても、内容は特に取り留めのないもので、母親と一緒にスーパーに買い物に行ったり、友達の家で遊んだり、映画館でアニメの映画を見ていたり・・・。文章にしてみれば全然怖くない。むしろ幸せなぐらいだ。
だけど、どの夢にも一瞬だけ、ものすごい恐怖に駆られるシーンがあったはずなんだ。
飛び起きるとすごい寝汗で、涙もボロボロ流して震えているぐらいなのに、どうしてもその一瞬に「何が」あったのか思い出せない。そして、数分経つと恐怖も綺麗に消えちまう。
夢って結構あいまいなものだし、隅から隅まで全て覚えている人なんていない。だけど、一番怖いシーンだけスッポリと、まるで誰かが映像を編集したみたいに抜け落ちているのが妙だった。
当時、まだ幼かった俺は、自分を苦しめているのは悪魔かなにかのせいに違いないと決め付けた。そしてだんだんと、悪夢の恐怖は、悪魔に対する怒りに変わっていったんだ。
「今日こそ絶対に、隅々まで夢を覚えておいてやる。悪魔の好きにはさせないぞ!」って意気込んで眠りにつくようになったんだけど、やっぱり重要な部分だけ忘れちゃって。あの時は毎朝、悔しがってたっけ。
でもある日、パタリとその悪夢を見なくなった。不思議に思ったけれど、見たくもない悪夢から解放されたんだし、願ったり叶ったりだった。それで、いつの間にか、悪夢を見ていたことすら忘れちゃったんだ。
なんで今更、そんなことを思い出したのかっていうとさ。最近また見始めたんだよ。あの頃と同じような悪夢。小学生以来だから、かれこれ12年ぶりだった。
夢の中での俺の姿は、まだ小学校低学年だった。やっぱり母親に連れられて買い物に行ったり、友達の家で遊んだり、映画館でアニメ映画を鑑賞したりしていた。
でもあの頃と違って、とうとう抜け落ちていたシーンまで鮮明に覚えていられたんだ。・・・だけど、忘れたままの方がよかった。
最初は、通学路を下校している夢だった。突然車道から車が猛スピードで突っ込んできて、俺の同級生を何人も跳ね飛ばした。みんな「痛い・・・痛い・・・」ってうめき声を上げてるのに、俺はただ立ち尽くして、何もできなくて。
ふと車の方を見ると、運転席から一人の男が降りてきた。スーツを着た中肉中背の、なんの変哲も無いサラリーマンなんだけど、その顔には満面の笑みが広がってた。まるで子供を轢いたことを、心の底から大喜びするみたいに。
抜け落ちていたシーンには全部、あの満面の笑みの男が出てきた。スーパーで母親を刺し殺した男。友達の家に火をつけた男。映画館で後ろの席から首を絞めてきた男。全部全部あいつだ。
なんで、思い出したい時には思い出せないクセに、いざ思い出してしまったら、忘れられなくなるんだろうな。
ほぼ毎日そんな夢を見ながら、丸々1週間ぐらい経った。精神的にキツくて、大学もバイトも行くのがダルくなってきた。そのうち行かなくなっちまうかもしれない。病院で診てもらうにしても、何て説明すればいいのか分からないし。このまま悪夢を見なくなる日を祈りながら待ち続けるしかないのかな。
まるで、あの頃見ていた夢が、あの夢に出てくる笑う男が、俺を追いかけてきているみたいだった。
気のせいだと思いたいんだけどさ、俺最近、街中を歩いていると、視界の端っこをサッと横切る陰が妙に気になるんだよね。サラリーマン風の男さ。こっちを見て、笑っているような気がして。
まるで、あの頃見ていた夢が、あの夢に出てくる笑う男が、俺を追いかけてきているみたいだった。
気のせいだと思いたいんだけどさ、俺最近、街中を歩いていると、視界の端っこをサッと横切る陰が妙に気になるんだよね。サラリーマン風の男さ。こっちを見て、笑っているような気がして。












